帰ってきてくれたんか

 

作詞作曲/田中卓二 編曲/ASORA


うちのとこ帰ってきてくれたんか ほんまにうち嬉しいで
分かっとる 女はいつも損ばかりや 心も体も傷ついて
どんなに悔やんでも悔やみきれん 過ち 心に刻んだまま
※寂しかったんやね 辛かったんやね もっと側においでや 寒いやろう
みんなあんたのこと 心配してたんやで みんなあんたが 好きなんや※

2 
どんなに一生懸命に生きても 報われんことばかりや
分かっとる 手当てなんてできんこと 泣きたいだけ泣けばええ
誰でも口では言えんような 哀しい話を もっとるもんや
寂しかったんやね 辛かったんやね 何も言わんでええから そこにいて
季節は巡ってゆく 街は変わってゆく やけど あんたはそのままや

3 
誰でも口では言えんような哀しい話を もっとるもんや

※繰り返し
みんなあんたが好きなんや

(解説)

私のふるさとは、大阪の千里ニュータウンです。
高校卒業と同時に大阪を離れて、もう四半世紀にもなります。近くの商店街がマンションになってしまったのを除けば、街並み自体はあまり変わりありません。ただ、近所で子ども達の歓声は聞こえなくなり、老人達の街になってしまった感があります。
兄と私そして妹の三人兄妹がいたころは手狭だった我が家も、三人とも結婚して独立し、両親二人だけでは少し広すぎる感じがしないでもありません。

私にとっての大阪は、必ずしもいい思い出ばかりあるわけではありません。いじめ、親友の裏切り、友人の自殺など、今から思い返しても、苦い唾がこみあげるような苦しい思いも経験しました。当然、失恋もありました。
ただ、その後、就職して大阪を離れ、根無し草のように全国を転々とする中で、大阪のもつ「あたたかさ」を感じることが多くありました。理屈では説明できないふところの深さが、大阪にはあると思います。たとえば、同じ慰めの言葉でも大阪弁で言われるだけでも癒されます。
『帰ってきてくれたんか』は、大阪弁の癒しの世界を伝えたくてつくった歌です。どんなに辛いときでも苦しいときでも、大阪弁で慰められると癒されることが本当にあると思います。
一生懸命生きても報われないことが多いですが、それでも一生懸命生きていかなければいけないのだと思います。
この歌は、ふるさとの大阪と同じように、私にとって大切な歌です。