この歌には、この地域で昔から歌い継がれてきている『かちんぼ節』も、歌の一節に取り入れることにしました。
「かちんぼ」とは、今のような軽トラックやモノラックが発達する以前、みかんを収穫した後、人力でみかんを運ぶために使われた肩にかける棒のことです。一度に60キログラムほどのみかんを、かちんぼで運ばなければならなかったため、大変な重労働だったそうです。その苦しさを紛らわせるために歌われたのが、『かちんぼ節』だったというわけです。
『かちんぼ節』の歌詞を一部紹介します。
嫌じゃ嫌じゃと 鳴くかごの鳥ヨ
かごも破れる こともあるヨ
ミカン取りさん トンボかセミかヨ
朝の早よから 木に止まるヨ
ミカン船なら 急いでおいでヨ
江戸で売り子が 待っているヨ
この地域で、現役の頃『かちんぼ節』を歌っていた農家の方はすでに90歳をこえていて音源探しに苦労しました。結局、和歌山県民謡研究会の山本唯雄さんを通じて、『かちんぼ節』の音源を分けていただくことができました。その音源をアレンジし直して、『よさこいハイランド!』に取り入れさせていただきました。
この地域に伝わる『かちんぼ節』の素晴らしさを、『よさこいハイランド!』を通じて感じとってもらえれば幸いです。
なお、東京で行ったこの歌のレコーディングには、宮本静さんに参加いただきました。CDを聴いていただいた方には、宮本さんが楽しくのびやかに歌っている雰囲気を感じてもらえるのではないでしょうか。 |